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ドクター角倉の電動機情報(掲示板より抜粋) 40)

40) Ni-MHの放電 (2003年1月1日〜1月29日)

サンヨーのニッケル水素RC3300HVを使い始めました。 2400よりかなり時間が延びたので驚いています。パワーもあります。 充電はシュルツェの430のノーマルモードでニッカドと同じようにオートマチックで行っています。 放電はどうしたらよいのでしょうか。ニッカドと同じようにした方がよいでしょうか。? ニッケル水素は放電の必要が無いとも聞いたことがあります。 どのようにしたらよいか教えてください。
(平木氏)


ニッケル水素の放電ですが、私の場合は、ニッカドと同じように放電していました。

一番気になっていたバッテリーの寿命については、現在までの所、GP3300が130回、サンヨー3300が100回の使用回数になっています。

電池の内部抵抗は使用回数毎に確実に増えているので、130回使ったGP3300は、いつ使用中止してもおかしくないくらいの抵抗値になっているのですが、サンヨー3300の方はまだ元気でいます。

最近感じている事ですが、同じサンヨーの3300と言っても、色々なランクの製品が販売されていて、それぞれに性能の違いがあるようなので、購入する時には、まとめ買いせず、少しづつテストしながらの方が
良さそうです。


Ni-MH3300情報

これまでずっとNi-MH3300に掛かり切りでしたが、この辺でこれまでの経験を次の様な項目別にまとめてみようと思います。

1. バッテリー寿命
2. 6セルor7セル
3. バッテリーの内部抵抗
4. 連結板の内部抵抗
5. プロペラ回転数への影響
6. バッテリ−の連結方法
7. セル数の選択とセッティング
8. セルのハンダ直付け方法


その1 バッテリー寿命

私がNi-MH3300の寿命を調べる為に使ったバッテリ−は、GP系のヨコモ3300HVR ZAP2 ストレートパックと、サンヨー系のヨコモRC3300HV ZAP2 バラセルです。

使用状態は・・・
セッティング : 初期40A台前半
モーター回転時間 : 6分程度
飛行前のバッテリ−温度 : 40度以下
飛行後のバッテリ−温度 : マーチで60度、ボレロでは70度(部分的にはもっと高い所も)
充電 : 基本的には4.5A定電流・オートカット。
     但し、充電時間短縮の為、最初の20分程は8Aで充電し、途中から4.5Aに戻す事もある。
放電 : シュルツェのオート放電のような丁寧な放電は不要と思い、あっさりと放電。
1日の使用回数 : 2回はしょっちゅうで4〜5回の事もあり。

といった状況で、バッテリ−にとってはやや過酷とも思える使い方をしてきた訳ですが、それでも100回使用時でも極端な性能低下は起っていませんでしたから、一応寿命についてはOKだと思います。 ただ、Ni-Cdに比べるとちょっと劣るような感じがしています。


その2  6セルor7セル

バッテリ−寿命はそれ程気にしなくても良い事が分かったので、次に別の2種類のバッテリ−を購入してテストしてみました。

ヨコモ ピークパワー サンヨーRC3300HV ストレートパックとタミヤ アドバンスパック RC3300HVです。

どちらもサンヨー製セルの6セルストレートパックで、ヨコモの方はザッピングしていない生セルですが、タミヤの方はザップ済みです。

さて、これらの結果ですが、実際に飛行させてみると、どちらもパワー感が今一なのです。 タミヤの方は微妙な差ですが、ヨコモの方ではかなりハッキリしています。

この経験からバッテリ−について色々調べてみた結果、7セルRC2400の代わりにニッケル水素3300を使用する場合、幾つかの条件を揃えなければ6セル化は難しい事が分かって来ました。


その3  バッテリ−の内部抵抗

バッテリ−の内部抵抗は決して一定では無く、その時々の充電量やバッテリー温度によって絶えず変化しています。 特にニッケル水素は、ニッカドよりも更に複雑でデリケートな変化をする為、簡単に「このバッテリ−の内部抵抗は○○mΩ」と言い切れないものがあります。

内部抵抗の詳細を書くと長くなってしまうので、ここでは簡単に『充電後数分してバッテリ−のコンディションが落ち着いた時』で比較してみることにします。 説明の都合上、私のこれまで採ったデータに少し手を加え整理すると次の様になります。 (いずれもサンヨーNi-MH3300の6セル 10回使用時)

ヨコモ ZAP2 バラセル  26mΩ
タミヤ アドバンスパック 31mΩ
ヨコモ ストレートパック 35mΩ

尚、私の使用している「バッテリ−内部抵抗計測器」ですが、これはクロス会員の服部さんの自作によるものです。 その為、あくまでも私が個人的にバッテリ−の性能比較の為に使っている目安の数値にしかすぎません。 EPカーの世界では内部抵抗を計測できる充電器がありますが、それと直接比較は出来ない事を付け加えておきます。


その4  連結板の抵抗

3種類のバッテリ−は同じ工場で作られたはずなのに、何故、内部抵抗にこれだけの差が生じたのでしょうか?
どうやら、その原因はバッテリ−パックの構成にありそうです。
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ヨコモ ZAP2 バラセル  26mΩ ←ザップド&ハンダ直付け
タミヤ アドバンスパック 31mΩ ←ザップド&連結板
ヨコモ ストレートパック 35mΩ ←ノンザップド&連結板
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元々のセルの個体差もあるでしょうが、パックの違いからすると、「ハンダ直付け」と「連結板」で5mΩ、
「ザップド」と「ノンザップド」で4mΩの差が生じている様です。

ザッピングについては残念ながら私の手には負えない為、その検証は出来ませんが、連結板の抵抗ならミリオーム計が無くても電流計と電圧計さえあれば何とか調べる事ができます。 そこで連結板の抵抗を測ってみる事にしました。 すると、なんとスポット溶接間のわずか10数ミリの長さだけでも0.9mΩもの抵抗があったのです。

ハンダの直付けなら恐らく0.1mΩ以下の抵抗でしょうから、連結板をやめてハンダ直付けにすれば、1セルについて0.8mΩ、つまり6セルでは4.8mΩも抵抗を減らせる計算になります。

そこで、早速実際にセルをハンダ直付けし、計測を行ってみると、想像通り4〜5mΩ抵抗が少なくなっていたのです。

タミヤ アドバンスパック(ザップド&連結板 )31mΩ
  ↓ 
ハンダ直付けで27mΩに

ヨコモ ストレートパック (ノンザップド&連結板)35mΩ
  ↓
ハンダ直付けで31mΩに


その5  プロペラ回転数への影響

連結板やザッピングで4〜5mΩ抵抗が変わりそうですが、この抵抗差がプロペラ回転数にどれくらい影響するかちょっと考えてみました。

5mΩに40A流れるとすると、電圧の変化は、
0.005×40=0.2(V)

6.4V付近の0.2Vの差なので、その割り合いは、
0.2÷6.4=0.03
3%の差になります。

一方、11×7ペラの7000rpm台の回転数においては、100rpmの差が約4%のパワー差と計算されます。

実際にはこの他に、モーター効率や電圧変動に伴う電流変化など色々な事が影響しますから、回してみないと本当の事は分かりませんが、5mΩの差は、プロペラ回転数100rpmの違いとなって現れるかどうか微妙な所のようです。


その6  バッテリ−の連結方法

連結板の抵抗の大きさについては古くから言われていた事なので、私も10年程前にセル直付けのテストしてみた事があります。でも、「効果がわずか」だった事や、「バッテリ−の改造は一般的で無くなる」等の理由から、その後はなるべく市販パックバッテリ−をそのまま使う様に心掛けて来ました。まあ、今考えれば、当時の02Hモーターに30A程度の電流では、プロペラ回転数に大きな変化が無かったのは当然の事だったのですが。

しかし、今、私がやっている様な、6セルで7セルに近いパワーを出そうとする時には、どうしても連結板の抵抗が問題になってしまいます。

ハンダ直付けされたパックが販売されていれば良いのですが、セル製造メーカーがハンダ付けを認めていない以上、途中の業者がハンダ付けして発売する事は出来ないのだそうです。ハンダ付けに変わる何か良い方法で連結されたパックの発売があれば良いのですが、それまでは自分で何とかしていくしか無い様です。


その7  セル数の選択とセッティング

これまで述べてきた様に、6セルNi-MH3300は、総エネルギー量で7セル2400ニッカドを上回っていますが、パワーをうまく引き出す為には、多少の技術や手間が必要になります。 従って、「6セルにしてお手軽にする」という目的からは外れる事になってしまいます。

何セルかを選ぶのは個人の判断に拠るしか無いので、ここでは6セルと7セルの特徴について考えてみます。
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(1)6セルNi-MH3300 ストレートパックの場合
ノンザップドは当然ですが、ザップドでも、このままではパワーに不満があります。連結板をはずして、セルをハンダ直付けする必要があります。
セッティングはまだまだテスト中なのですが、マーチに11×7ペラを使用するとして、モーターは9ターン、ギヤ比は5:1あたりから始めて少しづつピニオンを大きくしていけば良いでしょう。
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(2)ノンザップド 7セルNi-MH3300 ストレートパックの場合
私は6セルNi-MH3300しか使った事が無いので、この7セルについては想像の話になってしまいますが、7セルRC2400の代りとしては、一番無難な選択だと思います。ただ、パックの内部抵抗が大きいと思われるので、ニッカドの時より若干大きめのピニオンを使う事になるかもしれません。
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その8  セルのハンダ直付け方法

これについては、既に幾つかのHPで説明さているので、ここでは、ちょっとしたアイデアを紹介しておきます。

まずハンダごてですが、これは必ず100Wのものを使用します。この「こて先」に太めの銅線を「ハチマキ状」に巻き付ければ、セル直付け用のハンダごてが出来上がります。 銅線の太さや巻き方は適当に工夫して下さい。

それと、3セル+3セルの6セル形式では、中央の1箇所は連結板を使う事になりますが、ここには必ずEPカーで使われている接続板を使って下さい。(金属板の抵抗値が全く違います)

尚、セルに直接ハンダを付ける事は、ラジコン界では良く行われている事ですが、安全には十分気をつけて、自己責任の範囲で行う様お願いします。

セルの直付けとモータコードも参照下さい



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角倉真広 
kdkr@cb.mbn.or.jp
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