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ドクター角倉の電動機情報(掲示板より抜粋) 12)〜27)

12)減速比・減速機に望む事(2001年7月19日)
ギヤドライブの場合は、RCカー用のギヤを利用する事でどんな減速比にも対応出来てとても好都合でしたが、ベルトドライブでは大小プーリーやベルトを各種用意しなければならないので、これがとても大きな問題になって来ます。
各種の小プーリーと、2種類程度の大プーリーが揃っていれば色々な減速比にする事ができて理想的ですが、最初から全種類揃えるのは、供給する側にとっても大変な事だと思われます。
ですから、最初のうちは具体的な減速比の要望があった方が、発売実現が早くなるかもしれません。

とにかく、機械部品のカタログには色々なものが載っていて、それもメーカーによって多少違うものがあったりして、結局どれを採用して行くかと言う決断が一番難しい事になります。
外国の製品にこんなものがありました。http://www.modelairtech.com/
ここのBelt and Gear Drive Units に載っていますが、これを見ると減速比があまり選べない様なので、物足りなさを感じてしまいます。

これまで、色々なセッティングをやってみて感じる事は、使いたいプロペラというのが自然と決まって来る事なのです。つまり、負荷調整の為にペラを選ぶのでは無く、機体や飛ばし方によってこのペラを使いたいと思う様になるのです。その為にはどうしても細かいギヤ比の調整が必要になり、4:1から急に3:1になる様なユニットでは話にならないのです。ギヤの場合はそれができたので、ベルトでも是非そうあって欲しいと思っています。


13)モーターの温度(2001年7月21日)
ナビゲーター25-10セルの飛行直後のモーターカン温度は、気温プラス十数度程度と中々良い状態ですが、7セル・ファンフライの方はもっと熱くなってしまいます。まあ問題になる程ではありませんが、実際の損失エネルギーは10セル・ナビの方が多いはずなのに、不思議なものです。
7セル・ファンフライも10セル・ナビも、どちらもモーターはむき出し状態で風の当たり方は良いはずですから、違いは連続運転時間や冷却風の流速によるのかも知れません。

ちなみに、ファンフライ1号機の時はモーターが胴体内にあった為、冬場にもかかわらず今よりももっと熱くなっていました。モーター回りの空気の流れは大変重要ですね。


14)ユニット搭載時のアイデア(2001年8月2日)
ギヤダウンユニットを機体に取り付ける時、2ミリビスを使うとグロメットの穴に対してちょっと緩すぎるのが気になりますね。こんな時は、アンテナカバー用のビニルチューブ(外径2.5ミリ程度)を長さ8ミリ位に切って、2ミリビスに被せると丁度良い状態になります。
ビニルチューブが無ければ、絶縁用の収縮チューブを縮めた物でも良いですね。


15)ストールターンについて(2001年8月4・6日)
※パターン演技について
パターン演技をやってみようと思われる方は、是非”電波実験社”から発売されているビデオソフト、「完璧なジャッジングと飛行」を御覧下さい。
飛行を説明する時に、ルールブック等による文字での情報は、どうしても読み手によって誤解が生じてしまうものですが、ビデオのアニメーションの飛行ぶりを見れば、誰でも同じ観点からパターン競技に取り組むことが出来るからです。パターン競技とは、このビデオにある通りに飛べば10点満点になる競技なのです。

ストールターン演技の特に頂点のターンについてですが、ビデオによる理想演技では「垂直飛行スピードがゼロになった時、ヨー軸を中心にノーズとテールが入れ代わり、その時の許容半径は1/2ウイングスパン」となっています。

つまり、ターンの中心点が翼の中にあるうちは取りあえずOKで、中心点が翼から離れるにしたがって減点が多くなる訳ですね。減点と言えば、ターン後の振り子運動も1点の減点になります。
それと気を付けたいのはテールスライドにならない事です。上昇スピードがゼロになるタイミングを逃し、テールスライドをはじめてからターンをしたのでは、失敗演技とみなされてしまいます。

※スロットルワーク
頂点でのターンは機速が無い状態で行うので、回転エネルギーを得るにはどうしてもプロペラ後流をラダーに当てておく必要があります。

垂直上昇中、一旦アイドリングにしてしまうとターンの直前にあらためてスロットルを開ける事になり、トルク変動による揺れや演技の流れにぎこちなさが出てしまいます。そのためスロットルワークのコツとしては、垂直上昇で減速する時決してアイドリングまで回転を下げない事になります。
特に電動の場合、アイドリングでなくてモーターストップになってしまい、大きいプロペラによるトルク変動もかなりのものですから、エンジンの時以上に注意が必要です。

「頂点のターンに必要なプロペラ回転を保ちながら機速が落ちるのを待ち、機速がゼロになる直前にラダ−を打つ」と、言葉では簡単ですが実際には垂直上昇のズレ、風、機体の特性等、色々な要素が絡んで来るので、細かい事は練習で身につけるしかありません。
ターンが上手くいくかどうかは、垂直姿勢の見極めと機速の判断にかかっている訳ですが、この機速の判断には多少のコツがあります。それは何か止まっている物と見比べれば良い訳で、もし背景に雲があれば最高の基準になります。

では、雲が無い場合はどうするかと言うと、私の場合帽子(キャップ)のつばを利用したりしているのです。
首を動かさない様にしてつばの位置を固定し、眼球だけで機体を追う様にすれば、機体のスピードが良く分かる様になります。この「眼球だけで機体を追う」方法は、他の色々なパターンを描く時にも応用出来るのでできたら練習してみて下さい。


16)送信機の持ち方(2001年8月10日)
送信機のトレイを使うか使わないかは、各自の好み次第だと思います。
私の場合ですが、きっかけは自分の操縦している姿を写真で見た時でした。当時自分では送信機の持ち方など気にもしていなかったのですが、結構右側を下げて操縦していたのです。その後気をつけてみると、普通の飛行の時は平らなんですが、複雑な操縦になるに従って傾いてしまう事が分かりました。それでそれを直す為にトレイを使うようになったのです。
その時ついでにスティックも親指で押さえるのではなく、2本指ではさむ方式に変えようとしたのですが、左手は何とかなったものの右手に関しては全然馴染めませんでした。結局左右で持ち方の違うスタイルになってしまったのです。

親指1本だと、操作スピードは速いが保持が苦手。2本指だと、スピードは鈍るが複合操作した時の保持性は良くなると言った感じでしょうか。保持性なんて言う表現が適当かどうかは分かりませんが、要するにエレベーターダウンを打ち続けるとか、ダウンを打ちながらラダーもちょこっと入れる、という場合の話しです。

ヨーロッパでは右スティックがエルロン・エレベーター方式が多いそうですが、もしかしたらオンボードスタイルにする原因はこんな所にあるのかもと、勝手に考えたりもしています。


17)コミュテータについて(2001年8月27日〜9月23日)
コミュテータの切削は現在の540クラスモーターを使って行く上で一番重要な事なのですが、その割に情報が少ない様ですね。そこで、http://www2u.biglobe.ne.jp/~kmodels/bbs1/841400146484375.html
ここにも載っていますが、こんな情報を元に、もう少し突っ込んで考えてみましょう。

まず、※バイトについてです。
最近、QRPの所でも紹介した様に私が今使っているのは、「京セラチップTPMH110304SE 材質KPD010(ダイヤ)」と言う一辺が10ミリ程度の三角形のチップで、刃先の半径が0.4ミリのものなのです。これで、一定速度の送りで一方向で切削しているのです。
でも、普通コミュ研機で使われているのは、例えばこんな感じのhttp://www2u.biglobe.ne.jp/~kmodels/probait.htmバイトで、これこそ片方向にしか使えない感じがしますね。

※ダイヤモンドバイト(8月29日)
バイトは必ずダイヤモンド製を使います。
コミュ研を始めた頃は、何も知らずに「銅の様な柔らかい材質の物には超硬で充分」と思っていたのですが、それはとんだ見当違いでした。超硬は最初は良くてもすぐに初期磨耗で刃先が丸くなってしまうのです。
銅よりもっと硬い材料や切り込みが深ければそれでも構わないのでしょうが、コミュ研の様に柔らかい材質をほんのわずか切削する時は、尖った刃先でスパッと材料を切り取る必要があったのです。
切れ味の悪いバイトでは、ちょうど柔らかい地面の上を車が通った時の様に、刃先に押しのけられた銅が刃スジの両側にめくれ上がってきて、バリだらけの悲惨な仕上がりになってしまいます。
これは30倍の顕微鏡でハッキリと見る事が出来ます。この顕微鏡、細い筒状の望遠鏡にもなる物で、商品名は分かりませんがお勧め品です。

一口にダイヤモンドバイトと言っても実際は種類があるという事を、クロス会員の西口さんから教えていただきました。その時伺った様な事が京セラの所にありますので、ここで紹介しておきます。
工具の材質研究=http://www.kyocera.co.jp/frame/product/tool/index.htmlの中の、「ダイヤモンド(PCD)工具とは」「PCD工具と天然ダイヤモンドとの違い」あたりにあります。

ここの説明にあるように、黒い色をしているダイヤモンド(PCD)工具は多結晶ダイヤで結晶間に隙間があるため、刃の通ったあとに細かなスジが残ってしまうものですが、単結晶ダイヤだと鏡面仕上げが出来るのです。
私も単結晶ダイヤの切れ味を体験出来ましたが、そのツルツルピカピカの仕上げ面には驚いてしまいました。

さて、この鏡面仕上げがどのくらい性能に影響するか気になる所ですが、残念ながら「いくら綺麗に仕上げられた面でもブラシでこすられればすぐにキズだらけになってしまうので特別な事は無かった」と言うのがその時の感想でした。
これは当たり前の事なのですが、ブラシと接触するのは波型に削られた面の底ではなく山の頂上の方なので、この頂上の高さを均一にする事がコミュ研で大切な事と思います。

現在の様に各社からコミュレーズが発売され普及していると言う事はそれぞれそれなりの一定水準を確保した性能になっているので、あとは使い方次第と言う事かもしれませんね。
それにしても最近のRCカーのコミュ研頻度は凄そうで、飛行機で540モーターを10セルで使うよりも過激な感じがします。

コミュ研の事がパパさんの所にも出ていました。パパさんの所はこちらです。(8月30日)
このBBSから入れます。http://teamyokomo.com/ymp/index.html

※真円度(9月12日)
使用したコミュテータは、一見して綺麗そうでも実際に削ってみると、後縁がスパークで侵食されて減っているのが良く分かるものです。
普通のコミュ研では、0.02ミリ程度の削り込みが必要ですし、ひどく傷んだコミュではその倍くらい削り込む事もあります。こんな事からブラシ式モーターは普段使っている時も、かなりひどい条件で回り続けている事が想像出来ます。

※コミュ研の状況(9月14日)
まず、私の使っているコミュ研機ですが、これは数年前買ったものに自分で改造を加えたものです。
製品はミニ旋盤と言った感じの支持方法でローター取り付けが不正確だった為、Vブロック支持のOリング駆動に改造しました。
ただVブロック支持と言っても、正確な測定器を使って組み上げた訳では無いので、かなり色々な所に狂いがあります。精度は現在市販されている物の方がずっと良いはずです。
バイトチップは以前紹介したもので、切削時のローター回転数は3000rpm弱、約15秒かけて削っています。
その結果ですが、不思議な事に2山の楕円になっていました。原因は不明です。

服部さんのコミュ研機は市販の物で、バイトは先の尖った市販品です。送りスピードが速いのか、バイトの切れ味が悪いのかは分かりませんが、バリや引っかきキズがある様です。

6513Wのコミュを拡大してみると、本当に綺麗なネジ状になっていて、さすが工場での量産品と言う感じがします。ただその粗削りの影響なのか、コミュの切れ目で急に高さが変わっています。
これは私の経験と想像なのですが、これまで使って調子の良かった物は、コミュ後縁がスパークで傷むのは仕方ないとしても、コミュ前縁が凄く綺麗でした。
この事から、この6513Wローターを時計回りに使った時には、コミュ前縁が確実にブラシと接触するので、結構調子が良いのではと思うのです。ただマイナス面として、ブラシをガリガリ削ってしまう可能性もあるので、あくまでも想像の話ですが。

今回測っていただいたものはほんの一例ですし、この中には使用中のローターも含まれていませんでしたから、今後も、もっと色々なサンプルを調べてみる必要があると思いました。

※コミュ研,自動送り(9月18日)
表面あらさは送りによっても左右されますから、なるべく一定速度で送りをかける必要があります。これは手回しだと中々難しい事なので、できれば自動送りの付いた機種が理想と言う事になります。
でもそれだとかなり高くなってしまいますね。そこで私は、マブチ模型工作セットの減速機を利用して自動送りに改造してみました。
コミュ研機の構造は色々なので、どの機種でも上手く行くかどうか分かりませんが、プーリーやOリング,タイヤ等を利用して、自動送りにしてみるのも面白い事ではないでしょうか。

※コミュ研,切削油剤(9月23日)
コミュテータ切削の時には切削油を使った方が良さそうです。私は今のところ、西口さんにいただいた切削油剤を使用しているのですが、これはかなりサラサラで使用後は自然乾燥してくれ、ベトベトが残らず大変都合の良いものです。西口さんによればなるべく薄めのものが良くて灯油でも良さそうです。


18)振動のついてのチェックポイント
(2001年9月2日)
「モータ変更に伴い、やっと50ギヤに切り替えて機体に搭載せず、ギヤ比の調整等をすませて機体に搭載したら振動がでて大変!ペラの静バランスはとってあります。APC11x7E 3枚ほどとっかえひっかえしましたが、収まりません。7セルで7000rpmから7800rpm程度です」との事・・。

チェックポイントを上げてみましたので、参考にして下さい。

@ まずスパーギヤを付けなければなりませんが、どこのメーカーの物ですか?真円度はどうですか?
それと、ピニオンはどうですか?
A スパー取り付けの穴は2種類ありますが、間違いはありませんか?

B プレートの組み立てで一番重要なのは、シャフト回りのパーツを全部仮り組みしておいてから、一番最後に支柱のネジを締め付ける事ですが、その時にシャフトを回して全体の歪みをチェックしましたか?
まず無いとは思いますが、もしもベアリングの取り付けや部品の異常があればこの時に発見出来るはずです。
C ユニットが組み上がった時、スパーギヤは狂い無く回転していますか?

D 機体への搭載方法はどうしていますか?
E スピンナーを使っていますか?使っているとしたら、バックプレートの材質は何ですか?
穴はセンターにあいていますか?スピンナー本体のブレはありませんか?

F  プロペラ穴にはガタがありませんか?ペラの静バランスはとったそうですが、このペラなら何もしなくても
問題は出ないと思うのですが、調整はどのくらいされたのでしょうか?
G 普通はこれをやる必要までは無いと思うのですが、モーターの振動によるバランスの確認をしてみましたか?方法としては、まず、機体にユニットとモーターを取り付け、モーターのピニオンは外しておきます。
シャフト回りに癖が無いか確認する為、プロペラを付けない状態でモーターを低速回転させ、ユニットに振動をあたえます。ここでシャフトがどこか一点に行きたがる事はありませんか?
もしそれも良ければ、スピンナーやプロペラ一式を取り付けてみます。もちろんこの時にもピニオンは外したままです。シャフトの癖をみた時と同様にモーターの振動でバランスのチェックをします。
H スパーとピニオンのバックラッシュを確認します。   


19)テストペンチ(2001年9月2日)
テストベンチは機体に似せた構造が理想ですが、現実的には取り付け方法が機体と同じになりさえすれば取りあえずはOKだと思います。本当の所は機体に積んでみないと分かりませんからね。

私が使っているのは3〜6×60×100ミリ(厚さはパワーによって適当に選ぶ)程度のベニヤ板一枚です。
この板にギヤユニットを取り付けて、それをキャンプ用のテーブルにネジ止めしているだけです。
テストベンチの目的は人それぞれでしょうが、私の場合は新しいモーターの回転テストやデータ取りなのでこの程度で用は足りています。

この前、「モーターを手で持って回していると、急に熱くなる事がある」と書きましたが、ブラシ式の様にマグネットが外側にあるものは発熱が間接的なのでそれ程急激な温度上昇は無いかもしれませんが、ブラシレスの様に、巻き線が外側にあるものは、発熱が直接的なので特に注意が必要という事です。

「テストベンチのお話が出ましたので、手前味噌で恐縮ですが記事がありますので、ご参考にして下さい。
http://homepage1.nifty.com/Dragon/html/plane/test1/test1.html
これでセッティングしたり、データー取ったり、スピンナー付きでのバランス調整等々大活躍です。」静岡 杉山様


20)マーチ540・トルクロール(2001年9月19日〜10月2日)
※マーチ540 (9月19日)
今回は金子さんからマーチのスタイリングについての投稿があったので、丁度良いきっかけとして、少しずつでもマーチやメリット540について書いてみようと思っています。

マーチを設計したのは95年ですから、もう6年も前になります。
その時の一番の目的は、電動スポーツ機用のモーターや機材を調べる為でした。電動の総合的な判断は、飛ばしてはじめて下せるものですから、安心して飛ばす事が出来て、当然ある程度の運動性も備えた機体が必要だったのです。その後の電動パワーの発展ぶりは御承知の事とは思います。

※矩形(くけい)翼 (9月20日)
テーパー翼に比べれば矩形翼は確かにそんなにカッコ良いものではありませんね。でもマーチクラスにとって、矩形翼は結構便利で都合が良いものなのです。
特に、色々な姿勢になった時に感じる失速特性ですが、これは矩形の方がずっと優れていて安心感がありますから、その安心感ゆえ、かえって矩形の方が無理が出来ると言う事にも繋がって来ると思うのです。

大型機では空気の張り付きが違う為、テーパーのきつい翼を採用して運動性を増している様ですが、残念ながら小型機ではそう言うマネは出来ないのです。商品としての格好良さは大事ですが、このマーチクラスでは、矩形翼も決して捨てたもんじゃ無い事を、忘れないでいただきたいと思います

※トルクロールは難しい (9月21日)
今年になってファンフライ機できちんとした練習を始める事にしました。
ところが、これはやってみた人にしか分からない事ですが、トルクロールは見た目以上に難しい演技だったのです。今でもまだまだ練習段階なので大した事は言えないのですが、今回はなぜトルクロールは難しいかについて考えてみましたので、途中経過と言う事でお聞き下さい。

難しさの原因は、裏側から見た時のラダーの打ち難さや、風の影響など幾らでもあるのですが、私が特に感じているのは、『奥行き方向のズレが大変分かりにくい』と言う事なのです。
自分が乗っていれば色々な加速度を感知出来ますが、ラジコンは元々『コントロール情報は視覚に頼るしか無い』と言う致命的な欠点があります。その一番の情報源の視覚も、平面的な物であれば良く分かるのに、奥ゆきとなるとかなりあやふやになってしまうのです。頼みの綱の視覚の半分があやふやでは、難しくなるのは当然なんですね。

上手な人程、低空でトルクロールを行いますが、それは崩れない自信がついて来る→高度を下げられる→良く見える→更に上手くコントロールできる、と言った繰り返しの結果だったのですね。

※トルクロール
 (9月23日)
「スラストで、上を向いて速度がほぼ0になったときにスロットルを入れると必ず機体の下方向に向かっていきます。」これはマーチが真上を向いた時の癖は、バッテリーが翼の下にあって重心位置が推力線よりも下側になっているからかもしれませんね。
その点、私のファンフライ機は翼の中にバッテリーがあるので、上下のバランスはとても良くパワーをかけた時どちらかに流れると言った癖はありません。

それと、ファンフライ機とトルクロールの関係ですがファンフライ機だからトルクロールし易いと言った事では無く、崩れた姿勢になっても小さな宙返りですぐに復元出来るからトルロール練習に向いているのだと思っています。

トルクロールは全く風に弱い演技で、少しでも翼に風が当たると翼が生きてしまってロールが止まってしまいます。無風の時は機体を垂直に立てて絶対横滑りをさせない事。そして、風がある時はその風と一緒に流してやって、機体の回りを無風状態にしてやる事です。これがいつでも出来れば良いのですが・・・。

※トルクの大きさ(9月27日)
トルクロール練習の為に、色々な方向のホバリングをしてラダー操作に慣れる事はとても大事ですが、それだけではトルクロールになりません。ホバリングとトルクロールはちょっと別物で、それぞれにやり易い機体とやり難い機体がある様です。ここで、その原因の一つのトルクの大きさについて考えてみます。

今、私が飛ばしているファンフライ機(飛行重量1100g 翼長110cm)がホバリングしている時のデータ、すなわち静止推力が1100g時のデータは次のようになっています。
APC13×6 5700rpm 6V 25A
(ちなみに初期値は6800rpm以上、40A以上、静止推力1600g以上)

この時に翼端に加わっているトルクの大きさはどのくらいでしょうか。(ちょっと自信の無いところもあるので、計算で変な所があったら教えて下さい)

まず、この時のプロペラ軸出力は
入力=6×25=150W
出力=入力×効率=150×0.7=105Wと言う事で、大体、プロペラ軸で100W程度が予想されます。

W=トルク(g・cm)×rpm÷97400 という計算式があるので、これを変形して、トルクを求めると。

トルク(g・cm)=W×97400÷rpm=100×97400÷5700=1709(g・cm)
片翼の長さが55cmなので1709÷55=31g

という事で、プロペラのトルクの大きさは、水平にした翼の片方の端に30グラム程の重りを乗せたときの様な力という事になります。手持ちの機体を水平に保持してその翼端に10円玉数個を乗せてみると、その力の大きさが体験できるので是非試してみて下さい。

実際の飛行ではスロットルをあおったりして、その時のトルク変動を利用したりもするのですが、とにかく基本的にはこの程度の力を利用した運動なので、翼に風が当たって揚力を発生しようものなら、たちまち回転が止まってしまいそうな事が分っていただけると思います。

※トルク値の修正 (10月1日)
前回、ホバリング中の軸出力を100W程度と予想しましたが、プロペラ回転数からすると、もう少し大きい値になりそうです。
ただ、いつも使っている「ペラ回転数から軸パワーを予測する計算式」では、APCの13×6とか13×8といったブレードの形がスマートなペラは回転数が高くなってしまう為、ちょっとつじつまが合わなくなってしまうのです。

今ここでは別に正確な数値がどうのこうのと言うのでは無く、『トルクロールをさせるための反動トルクとはいったいどれくらいのものなのか』がイメージできれば良いので、大雑把な予想として軸出力120W辺りをみて、その時のトルクは55cmの片方の翼端に40g弱の重りを乗せた程度の大きさ、とでもしてみましょう。

とすると、今度は入力値の150Wに対して80%の効率になってしまい、減速のロス分を考えるとこれもちょっとおかしな事になってしまいます。もしかしたら入力値そのものに間違いがあるのかもしれません。

これまで、電圧はブラシ部分で測っていたのですが、コントローラーによる中速時のパルス電圧をテスターがうまく読み取れないといった可能性もあり、データ測定についてはもう少し考え直してみる必要がありそうな感じがしてきました。
またこの他にも各種のプロペラについて、パワーや推力が正確に計測できれば更に面白い事にもなりそうです。もし興味のある方がいらしたら是非チャレンジして欲しい部分でもあります。

※測定の間違い (10月2日)
中速時のデータにおかしな所があるので、測定をやり直してみたところ何となく原因が分ってきました。
一番の原因は測定ポイントにあった様です。

これまではコントローラーや配線の影響が無い様にと、電圧はブラシ部分で測っていました。
一方、電流についてはモーター側コードに電流計が挟み難かった事や、パルス電流は上手く測れないのではという考えもあり、コントローラー入り口側(バッテリー側)で測っていたのです。
フルスロットル時にはそれで問題無いと思っていたのですが、どうも中速時はダメだった様です。

そこで今回は、コントローラーの出入り口の両方の電圧・電流を測ってみました。以下は、スロットル調整でペラ回転数を5700rpmにした時のデータです。
入り口側 7.9V 26.5A 209W
出口側 5.76V 29.3A 169W

両方のワット数を見ると、40Wもコントローラーで食っている事になりこれもちょっとおかしな事です。やはり出口側はパルス電流なので、正確に測定出来ていないのかもしれません。何だか迷路に迷い込んでしまった感じです。

これまでデータ測定は、モーター側かバッテリー側のどちらにすべきか迷っていたのですが、今回の事からすると、データ取りはバッテリー側に統一しておいた方が良さそうです。そうすれば、ブラシレスモーターとの比較も同じ次元で出来るので、好都合になります。


21)7セル用ブラシ(2001年10月5日)
10セルで調子の良かった「エコー E-3049」ブラシを7セルでも試してみましたが、結果は全くダメでした。
パワーは出せないし肝心の耐久力も全く大した事はありません。やはり7セルでは「ヨコモ081」ブラシが一番ですね。


22)ラジコン電波の将来(2001年10月9日)
ラジコン操縦士の方は電波安全協会から冊子が届いているので御存じと思いますが、それによると現在の操縦士登録者数が19,600名しかいなくて、このままだと、ラジコン電波の将来はかなり厳しいものになりそうだとか。それにラジコン保険についても、保険料に対して支払額が随分多いので、保険料値上げの相談も来ているとか。色々問題が大きそうです。ラジコンはただ単に自分が楽しめればそれで良い、という趣味では無いのですね。


23)5○ギヤユニットの搭載(400クラスに)(2001年10月10日)
ごーまるギヤユニットは、工夫次第で400クラスの機体にも搭載出来る場合があるので、ここでちょっとその方法を紹介してみます。私の場合、540クラスが中心なので400クラスでの使用は試していないのですが、もしかしたら、もうすでに改造している方がいらっしゃるかもしれませんね。

さて、この場合のスパーギヤですが、ABCホビー製の76T,80T,84Tを使用する事になります。
ギヤ比はこんなあたりになります。
スパー→76---80---84
18----4.22--4.44--4.67
19----4.00--4.21--4.42
20----3.80--4.00--4.20
21----3.62--3.81--4.00
22----3.45--3.64--3.82
23----3.30--3.48--3.65
24----3.17--3.33--3.50
25----3.04--3.20--3.36
26----2.92--3.08--3.23
27----2.81--2.96--3.11
28----2.71--2.86--3.00
29----2.62--2.76--2.90
↑ピニオン

スマイル400だと胴体の幅が広いので、取り付け穴の変更程度だけでギヤユニットは胴体に納まるはずです。
エスパー400やモーターグライダーは、胴体の幅が狭いので支柱を移動させる必要があります。
その場合、支柱穴位置を中心方向に6ミリ程ずらせば良いでしょう。

穴の開け直しは不正確になりやすいため、次の様な方法でカバーします。
1)リヤプレートの穴には皿加工が当然必要。
2)フロントプレートの穴は皿加工しないでナベビスを使用。
3)組み立て時の手順を守って、穴のずれに気をつけながら支柱とプレートをねじ止めする。

この他にもまだ工夫しなければならない所がいくつかありますが、いずれも何とか解決出来る問題のはずです。
540よりも小さいクラスをやっている方は、こんな改造をちょっと試されてはいかがですか。


24)角倉の540モーターの使い方(その1〜4)
(2001年10月29日〜11月4日)
※その1:ブレークイン(10月29日)
性能や扱い易さから言えば断然ブラシレスなのですが、電動の面白さと言うとブラシモーターにあると思います。面白さと言うよりは苦しみの方が多いかもしれませんが、苦労が多い分上手くいった時の喜びもまた格別です。そこで、普段私がどんな手順で540ブラシモーターを扱っているか紹介してみることにします。

7セル時に使うヨコモ081等の新型ブラシは、先端のR加工がコミュテータのRに近い為、短時間で全面アタリになります。そう言えば最近のコミュテータの直径は昔に比べて、小さくなっている様な感じがするのですがどうですか?昔のコミュの直径を詳しく測っていなかったので、ハッキリとは言えないのですがどうもそんな気がしているのです。
性能だけを言うと、ちょっと削り込んでコミュが細くなったあたりに最高のコンディションがあるという様な事は聞いた事があるのですが、今のモーターはもしかしたら最初からそのあたりの状態にしてあるのかもしれません。
でも、コミュ研して使える回数は減ってしまいますね。

新型のブラシは、ブレークインについてはあまり気にする事も無いので、ここでは10セルの時に使う「エコー3049」ブラシについて、話をしてみます。
新品のエコー3049ブラシを全面アタリにするのは、02Hのブラシ程では無いにしてもそれなりに結構時間がかかります。まず、4〜5セルのバッテリーを用意して空回しします。その時、最初に注意する事はエンドベルを回して、火花が少ないポイントを探して固定しておく事です。

これは、色々な誤差の為に、カンの目盛りが必ずしも正しい訳ではないからです。
新品ブラシで1〜2時間程空転させれば、接触面は全面アタリに近付くのですが、これでは時間がかかり過ぎる為、私の場合はあらかじめブラシ先端をヤスリで削ってある程度Rの下ごしらえをしておいてから、ブレークインを始める事もあります。

※その2:計測(10月31日)
こうしてブラシが全面アタリなったところで、モーターの性格をみるためにいくつかの計測をします。

■ニュートラル時の計測■
まず最初に、ニュートラル位置を見つけなくてはなりません。
4〜5セルでモーターを空転させ、電流計を見ながらエンドベルをずらして電流値が最小となった所をニュートラル位置とするのです。ところが、実はこの「ニュートラル位置探し」が、540モータにとってとても大きな問題なのです。
多スロットのブラシモーターやセンサ−式ブラシレスモーターでは、電流計を見ていればハッキリとニュートラル位置が特定出来るのですが、実際の540モーターではそう簡単には分からないのです。これが02Hの時だったら、ブラシ固定ネジを緩めただけでブラシのあたり具合がめちゃくちゃになってしまい計測どころではありませんでした。今の540モデファイドモーターではそれ程の事はありませんが、それでもいくらエンドベルを回してみても中々ハッキリするものではないのです。結局は仕方無しに程々と思われる所を決めるしか無いと言うのが現状なのです。

こんな訳ですが、取りあえず何とかニュートラル位置を決めて、その時の回転数、電圧、電流を計測します。
そして、回転数÷電圧でKv値を算出します。
私の場合、進角を付けた時の回転数と区別する為、これをKv0と表記する事にしています。
負荷率等の計算にはこの値が重要で、進角を付けた時の回転数は見せ掛けの回転数となるので区別が必要です。

負荷率を使ったギヤ比セッティングをする時には、ニュートラルポイントでのKv値(=Kv0)が基準となりますが、現実の540ブラシモーターでは、このKv値を特定することが非常に困難だと言う事を覚えておいて欲しいと思います。

※その3:進角をつけての計測(11月2日)
■進角をつけての計測■
進角をつける理由は他でも述べていますが、簡単に言うと「モーターに負荷がかかった時のモーター内部の磁力線のねじれに対応してコミュの電流切り替えタイミングを変化させる必要がある」からです。パワーアップが目的ではありません。
どの程度進角をつけるかは、どんな負荷でモーターを使いたいかで決まりますが、私の場合は4〜5ミリ程度にしています。この4〜5ミリと言うのは経験値で理論的な裏付けはありません。それに、そもそもニュートラル位置が不明瞭なのですから、どれくらい正確なのかも良く分からないのです。

ニュートラル時と同様に4〜5セルで無負回転させ、回転数、電圧、電流を計測し、回転数÷電圧の値をKv4(ミリ)とかKv5(ミリ)と表記します。

セッティング係数を使うのであれば、この時点で満充電した4〜5セルバッテリーによる無負荷回転数を測っておきます。これが分かればセル数と無負荷回転数は比例するので、実際に使用するセル数での無負荷回転数が算出できるのです。

セッティング係数の基準となる「満充電バッテリーによる無負荷回転数」を知る為に、高回転タイプモーターを7セルや10セルで無負荷回転させるとモーター破損の危険もあるので、この様に少ないセルで得た数値を基に計算で求めた方が安全です。
この他に、「満充電バッテリーによる無負荷回転数」を知る方法としては、4A程度で放電したときのバッテリー電圧が1.3V程度なので、Kv4×セル数×1.3と言う計算からも求める事も出来ます。

※その4:540モーターのデータ(11月4日)
■540モーターのデータ■
ここでこれまで紹介したデータを少し整理しておきます。
まず、7セル時のものでモーターはマーチ540やファンフライで使っているヨコモS-PRO11T2W、ブラシはヨコモ081です。
Kv0=4900rpm/V
Kv4=5400rpm/V

次に、10セル時のものでブラシはエコー3049を使用しています。
S213
Kv0=4800rpm/V
Kv5=5300rpm/V
S215
Kv0=4200rpm/V
Kv5=4700rpm/V
S217
Kv0=3400rpm/V
Kv5=3900rpm/V

どれも皆、進角を付けて無負荷回転数が1割以上アップしたところで使用している事が分かります。

※注意※
何度も申しますが、現実の540ブラシモーターではこのKv値を特定することが非常に困難なので、今回紹介した数値がどれ程正確かは分かりません。したがって、この数値は参考程度として下さい。


25)14セル機のコネクタ・電動スポーツ機セッティングのコツ(2001年11月30日〜12月1日)
電動スポーツ機は扱い易さも大事な要素なので、7セル+7セルで14セルにするのは凄く当然の事と思います。一般的な普及を考えるとこの辺りの大きさがまでが妥当な線と思われるので、是非色々な機体で14セルに挑戦してみて下さい。

どんなコネクタを使うかは、何アンペア流したいかで決まって来ますが、コネクタの話しのついでにちょっとセッティングのコツについても付け加えておきます。

ギヤ比のセッティングをする時、ペラの初期回転数を高くしようとしてついつい「1つ大きいピニオン」を使いたくなってしまいますね。でもその時ちょっと考えて欲しい事があるのです。
初期40A以下のセッティングであればそれでも良いのですが、すでに初期値が40Aを越えている様だと、バッテリー内部抵抗による電圧降下で、パワーアップ出来ない事が良くあるのです。
電動スポーツ機にとって大切なのはスタート時の性能より上空での性能なので、地上でのパワーにばかりこだわっていると、ただの無駄飯食いのセッティングになってしまいます。
ちょっと甘め(緩め)のセッティングにして地上での初期値が多少悪くても、上空では良い飛びを見せる事が結構あります。つまり40A以上の性能よりも、30A近辺のモーターとバッテリーの性能を大事にしてもらいたいと言う事なのです。

特に、これはブラシ式のモーターに言える事なのですが、高負荷で大電流にしてコミュを傷めてしまうより、急がば回れで、低負荷にしてコミュの状態を整えてやった方が結局は良い結果に繋がる事が多いのです。
上空での目標値は機体や飛ばし方で異なりますから、決してどの機体も30Aがベストと言う訳ではありません。
この辺の適正電流値を求め、個性を出して行くのも電動の面白さであると思います。


26)5○ギヤの取り付け方法(スカイトレーナー20の場合)(2001年11月30日)
ページェントや電動機の集いの時に、50プロダクトのブースに展示されていた、黄色い機体を御覧になっていただけたでしょうか?
93年に京商から発売された20クラスのフィルム張り完成機の「スカイトレーナー20」です。
これは吉川さんの機体なのですが、私が電動用に組み上げ、その後もテスト機としてフライトしているものです。

一見するとただのトレーナー機なので、見過ごされてしまったかもしれませんが、50ギヤの取り付け方法はあのような方法が一番簡単で便利だと考えています。
写真が無いとちょっと説明し難いので、吉川さんから写真の掲載があればその時また説明してみたいと思っています。


27)ベルトユニットの特徴(2001年12月21日)
(5○Productsよりベルトリダクションの発売に際して)
ベルトドライブのメリットですが、これは使う人の要求や考え方によるのではないでしょうか。
そこで、メリットと言うよりはベルトの特徴になるのですが、次の様なポイントがあると思います。
1)モーターの回転方向
2)重量
3)伝達力
4)伝達効率
5)音質
6)扱い易さ
7)値段
これまでは、ギヤを使っていて音質や伝達力に限界を感じても、中々対応する事が出来なかったのですが、今回のベルトの登場で、対応策が一つ増えた訳ですから、大変ありがたい事と思っています。





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