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古いエンジンをリストアしてみよう! 第1回 フジ099 古崎仁一 1963年、中学1年生になって初めて買った模型エンジンが、フジ099両面排気型でした。憧れのエンジン付き飛行機として、Uコンという飛ばし方を知ったのもその頃です。 当時はうまく扱えずに、すぐに回らなくなってしまった思い出があります。私が使った2台のフジ099は、部品交換されることなくスクラップとして捨てられました。今になって、当時の中古品を手に入れることが出来たので、いったいどのくらい回るものか調べてみたくなりました。 まず、リストア前の状態を示します。(写真1.2) この状態では、エンジンの内部に残っていたヒマシ油が完全に固着して、固いタール状になっています。シャフトやピストンは全く動かせません。このタール状ヒマシ油を溶かすために、アメリカから輸入された瞬間接着剤はがし液を注入し、しばらくしてからバーナーでエンジンを温めたところ、運良く分解できました。(写真3) 左側にある市販のサビトリ液で、さらに頑固なかたまりを落とすことができました。 このエンジンを分解するためには、専用のレンチ類を作る必要があります。なにしろ小ネジは1本も使わず、部品をねじ込んで止める設計がされているので、昔は分解できませんでした。フジ099を分解するための専用レンチ(写真4)は、左から、裏ぶた、シリンダー、シリンダートップリングを、それぞれはずすためのものです。 このエンジンは珍しく、シリンダーと燃焼室一体形の実機の古い航空エンジンによく見られる形式を採っています。 リストア前の分解後(写真5)を、調べてみるとこのエンジンはコンロッドと、クランクシャフトとの組み合わせが悪く、ほとんど回らない状態であることがわかりました。おそらく前に使った人は、始動すら思うにまかせない具合の悪さに、うんざりし、ろくに回さないでしまい込んでしまったものと思われます。かえってそれが幸いし、割と良い状態で残りました。 これを、実際にR/C機を飛ばす動力として使うには、新たな部品が必要です。そのために、ドライヴワッシャとスピナーナットを作り、Gマーク11用のスロットルヴァルヴを改造して、使えるようにしました。(写真6) 試しに回してみたところ、ベンチュリーから燃料の逆吹きが見られたので、クランクシャフトの吸入タイミングを少し遅らせることにしました。シャフト吸入孔の開き始めの部分に、ハンダを盛り上げてタイミングを遅らせます。Uコン機は、常にフルスロットルで飛ぶので、逆吹きしてもあまり苦にならなかったのでしょう。(写真7〜10は、その手順を示す。) ところで、このエンジンのクランクケースには、軸受けのメタル材が入っていません。 アルミダイカスト材に、どの程度の軸受け性能があるのか興味がありました。クランク材との相性もありますが、ヒマシ油を25%入れた燃料でも過熱し、しばしばエンストしました。 そこでやむなく、根元に砲金のブッシュを入れたところ見違えるほどよく回るようになりました。 ニトロメタン7%、ヒマシ油25%入りの燃料で、8×6プロペラを約7,000rpm回します。これは、スカイカンガルーを楽々上昇させるパワーです。(写真11〜13) そのうち、昔風なR/C機に使いたいと思っています。 |
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